2006年 08月 29日

アロイス・カリジェの里

スイスの生んだ有名な絵本作家の一人に、アロイス・カリジェ(Alois Carigiet)がいます。日本でも、「ウルスリの鈴」や「大雪」などで知られており、昔から絵本が出回っていますので、ご存じの方も多いのではないかと思います。このカリジェの住んでいたのがドイツ語圏(ロマンシュ語圏かも)スイスのTrun(トゥルン)という村で、この村にはカリジェの作品が多く残っているそうです。

私の母は、普段はあまりdemandingではなく、旅行の予定なども、どちらかというと父親主体で決めている感じだったのですが、彼女がこの夏珍しく、カリジェの里に行きたいとの希望を言って来たので是非かなえてあげたいと思い、ジュネーブから車を飛ばして行って来ました。そのご報告を忘れていたので、備忘録を兼ねてご紹介したいと思います。

我々はこのTrunに行く前に、サンモリッツ(St. Moritz)まで車で行き(ジュネーブから約6時間)、これまたスイスの有名な画家のセガンティーニの美術館を見て一泊した後、そのとなりのポントレジーナ(Pontresina)で野生のマーモットを見てからTrunに向かいましたので、ルートはあまり参考にならないかもしれませんが、St. Moritzからは峠を2つ越えたあたり、だいたい3時間ほど走ったところにTrunはありました。

Trunは村と呼べるのかどうかも疑問なぐらい、街道沿いにささやかな集落があるだけの小さな村でした。車を停めてもほとんど人の気配がなく、時折車が駆け抜けるような寂れたところでしたが、結構立派なカリジェの美術館(Museum Sursilvan Cuort Ligia Grischa)が、たまたま訪問した土曜の午後2時から開館していたので飛び込んでみたところ、カリジェの原画がたくさん飾られていました。もし、Trunに行かれるなら、この美術館の開館時間に合わせて予定を立てられることをおすすめします。

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       美術館全景
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       カリジェ原画

また、この美術館の女性が大変親切で、カリジェの絵を見に来たんだと言ったら、すぐ近くの教会にある彼のお墓と、彼の絶筆の絵のある部屋(おそらく霊安室)の鍵をもっているので、みせてあげるとおっしゃっていただいたので、喜んでみせていただきました。この絶筆の絵は、荘厳な素晴らしい絵でした。

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       カリジェ絶筆

その教会からすぐのところにあるHotel Todiにも、カリジェの作品が飾られているとガイドに紹介されていたので、ホテルのレセプションで絵をみせて欲しいと言ったのですが、レセプションの人からは、カリジェの絵は部屋に飾ってあって、客が入っているのでダメだとのつれない返事。まあ、それじゃあしょうがないので、遅めのランチをこのホテルでとることにしました。で、食堂の奥にどうも素敵な絵があるなあと思って行って見てみたら、なんとカリジェの原画でした。しかも3枚も。なんだー、こんなところにあったんだとレセプションにちょっとだけむかつきつつ、素晴らしいタッチの絵をしばし堪能しました。また、母は街のあちこちにあるカリジェの壁画も見れるだけ見て、大変満足していました。

Trunは寂れていてまわりには何もないし、車でも峠越えが必須ですから行きづらいところです。でも、カリジェの絵本の原画を見るという貴重な体験は、私の母にとっては大変思い出深いものになったようです。また、私もなんとなく見たことのある絵だなあ程度に思っていたカリジェが、実は私が小さい頃大好きな絵本で、何度も母から読んでもらっていたことを、このカリジェの美術館で思い出し、とても懐かしく思いました。私にとっても良い体験でした。

ちなみに、Trunのあとはさらに4時間ほど走ってSaas Feeまで行き、そこでさらに一泊してから迫力満点のフェー氷河を間近で見て、餌付けされたマーモットに餌をやって、さらにMartignyで印象派展を見て帰りました。超充実の2泊3日のスイス国内旅行でした。総走行距離は約1000kmだったと思います。この旅行で訪問した場所は全ておすすめです。スイス旅行の際には是非ご検討下さい。
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       フェー氷河
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       あげた餌を目の前で食べるマーモット

そうそう、も一つ面白いことを忘れていました。TrunからSaas Feeの間に難所として有名なフルカ峠があるのですが、なんせ夕闇が迫っている夕方にフルカ峠の手前にさしかかり、どうしたもんだろうと思っていたら、道の横にカートレインの表示が。もしやこれは車ごと乗れる電車ではと思い、5時2分前に駅に滑り込みました。ちょうど5時の電車があるらしく、向こうに電車が停まっているのが見えるのですが、そこにたどり着くにはゲートをくぐらなくてはならない。で、どうやってゲートをくぐれば良いのか分からずおろおろしている英国からやってきた先客の車あり。それを見て、我々はダッシュで車を停めて、横の駅の窓口に飛び込み、あのカートレインに乗りたいんだと言ったら、大急ぎで行けと切符を売ってくれました。

切符を握りしめてゲートを通過し、係員が急げ急げと手招きするなか電車に車ごと乗り込んだ瞬間、電車が発車しました。先客の英国車は乗り損なったようです。我々は、彼らを見て何をすべきなのか分かったので、なんだか申し訳ない感じでした。それはともかく、我々はカートレインは初めてだったので作法も分からぬまま、指示通りエンジンを止めてサイドブレーキを引いて車の中にいたところ、フルカ峠の下に掘られたトンネルを猛スピードで走り始めました。車に乗っていながら運転はしていないのに、どんどん先に進むというのは妙な感じでした。時間にして約30分。多少揺れるものの、非常に面白い体験をしました。これも一度は乗ってみると楽しいですよ。おすすめです。

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       カートレインから
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by kototora | 2006-08-29 06:25 | gourmet & travel


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